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8.父とザ・ピーナッツ。そして、ぼくのザ・ピーナッツに対する思い...

(1)父とザ・ピーナッツ

ぼくは、子供の頃のことはあまりよく覚えていないのにザ・ピーナッツに関する記憶はわりと鮮明な方です。それは、父親のせいです。
父はザ・ピーナッツがブラウン管に出てくると必ずピーナッツがいかに昔からすごかったかを得意顔で話すのです。歌のうまさは言うに及ばず、二人がいかに似ていて、振付けまで完璧かについてまでほんとうに得意げに話すのでした。鏡をまん中において、二人が歌う。しかし、鏡を使って、ひとりしか歌っていないときと、鏡が枠だけで、ほんとうにふたりが歌っているときと全く区別がつかなかったとか、そういう実にささいなことまで持ち出してえんえんと語るのです。それも、ザ・ピーナッツがテレビに出てくるたびにしつこく繰り返し話すのです。その上で、ぼくに同意を求める。昔のことは知らないが、実際にテレビで歌っているのを見ながら話をしているのですから、そんなことは子供だったぼくでも十分にわかる。ぼくがうなづくとようやく父は満足するのでした。
しかも、これが解散後も続き、テレビに女性デュオが出てきようものなら、「ピーナッツはこうではなかった」とまたもや同じ話を始めるのです。実に執拗といおうか、飽きないといおうか。それでいて、父は彼女らのレコードを一枚も持っていなかったのでした。(これはぼくが大人になってから判明しました。)ぼくは初期のザ・ピーナッツを知らないことが悔しくなり、どうしてもっと早く産んでくれなかったのかなどと見当違いなことを思ったりしたものです。
今、ぼくがザ・ピーナッツのオリジナルのレコードを買い集めているのは、もちろん彼女らの曲がすばらしいからなのですが、この悔しさをはらすというのも、その理由の一つかもしれません。

(2)ぼくのザ・ピーナッツに対する思い...

ぼくはさっき、「父とザ・ピーナッツについて」を書きながら、動くザ・ピーナッツを思い出しました。ぼくは解散後、一度も動くザ・ピーナッツを見ていない。少なくとも、見た記憶がない。その後は、レコードだとか、ラジオから流れる彼女らの曲、そして、写真だとか、そういうものでのみ彼女らと接してきた。動くザ・ピーナッツをイメージしたことすらなかった。けれども、あの文を書いていて、子供の頃に見た動くザ・ピーナッツ、そして、それをどういう思いで見ていたかということを思い出したのです。こんなことは今まで、考えたこともありませんでした。ぼくは物心ついた頃から歌が好きでした。ラジオで聴くのとテレビで歌うのと、非常に落差の大きな歌手もいた。しかし、彼女らは違った。実演(テレビ)においても彼女らはとんでもなく歌がうまかった。歌うときの動きの一つ一つが美しかった。しかも、二人は精密機械のように、全く同じ動きをする。はじめから終わりまで、いささかの狂いもみせず、今の言葉を使えば、コンピュータでシンクロナイズされているかのような見事な完璧さだった。しかも、彼女らは歌っているとき、互いを見ていない。にもかかわらず、一方が手をあげれば、もう一方が全く同時に、それも同じスピードで手を上げ、また、同時に手をおろす。歌についても、まるでお互いの気持ちがわかっているかのように完璧なまでに乱れることがない。ヴィブラートに至るまで同時に始め、それを終える。ぼくは、正直にいって、不思議だった。神秘的な感じがした。この人たちはテレパシーか何かで、互いに自分の気持ちを伝えあっているのではないかと思いさえした。(当時は、ユリ・ゲラ−が来日したりして、超能力ブームの時代でした。)
もちろん、当時、ぼくはほんの子供です。こんな言葉で考えていたのではありません。しかし、その頃、ぼくがテレビでザ・ピーナッツを見たときの思いを今、文章化するとまさしく、こうなります。
父が、ザ・ピーナッツと「鏡」の話をしていたことについて、「ささいなこと」と書いた。しかし、それはぼくもそう思っていたから、その話が強く印象に残っていたのだ。そうでなければ、「ささいな」父の話を今まで覚えているはずがない。また、ぼくはこのホームページで、「双子は神秘的だから、ザ・ピーナッツも神秘的に思う。」というようなことを書いた。しかし、それは違う。逆だ。子供の頃に、テレビでザ・ピーナッツを見て、神秘的だと思ったからこそ、その後に双子を見るとき、無意識のうちにザ・ピーナッツを連想して、神秘的だと思っていたのだ。
こんなことに、今、気づきました。
ぼくは無定見にザ・ピーナッツを賛美していたのではなかった。大人になってから、いろいろな資料で彼女らの偉大さを知った。もしかすると、そうしたものによって、先入観を持って彼女らを見るから、彼女らを大歌手だと思い込んでいるだけではないのかと、自分を疑う気持ちも、決して拭えなかった。けれども、やはり、そうではなかった。ぼくは子供の頃に何の先入観もなく、動くザ・ピーナッツを見て、「これはすごい」と思い、大人になってから資料を読んで、それを再確認していたに過ぎなかったのだ。
Kさんは、今の彼女らを見て、「今は普通の人だけど、二人の歩く姿、歩き方はほんとうにきれい。あの美しさだけは、普通の人とは絶対に違う。」としみじみ言っていた。
ぼくは、自分のザ・ピーナッツに対する思いに確信を持てました。

(この文章は「ピーナッツ・ホリデー」の掲示板にも投稿しました。)

12.1.30



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